猫の栄養バランスについて

 人間には、好き嫌いというものがあって、摂取する栄養素が偏ってしまうこともしばしばあります。

しかし人間と違って猫は、自分の体に必要な栄養素を本能的に知っており、その本能的な欲求に合わせて、餌を選り好みできるようです。(栄養センサーを持っていると考えられています)

◎猫の食事調整能力

1.100匹以上の猫を対象に「食べたいものを自由に食べさせる」という実験を行った。その結果、どの猫も1日における3大栄養素(炭水化物・脂質・たんぱく質)の摂取量がほとんど同じであることが判明。

 

2.栄養素の割合は、たんぱく質26グラム、脂質は9グラム、炭水化物は9グラムであり、この割合は自然の中で魚などを食べて暮らすときに近かった。このことから、猫は生まれつき自分に必要な栄養素のバランスを知っているものと考えられる。

 

3.炭水化物の摂取量については、1日あたり70KCalという上限があった。この上限を超えると、たとえ空腹でもそれ以上のエサは食べなくなった。

 

このように猫は、自らの栄養バランスを生まれつき知っており、そのバランスを崩さないように餌を食べる。

という、優れた調整能力を持っている。

自宅でできる猫の健康チェックポイント

① 体重

猫の体重が1kg減った時、平均体重が4kgと仮定すると約25%の体重が減ったことになります。

人間でいえば60kgの人の体重が15kg減ったのと同じです。大ごとですよね。

何か病気が隠れているかもしれません。食欲はあっても体重が減ったりする時も要注意です。

猫がだるそうにしている時は、よっぽど体の調子が落ちている時です。

ご自宅に人用の体重計があれば、計ってみてください。飼い主さまの体重をまずは計ってみて、次に猫を抱っこして体重計に乗ります。その差が猫の体重となるわけです。

② 体温

猫の体温は、人よりも少しだけ高く37.1度~39度くらいです。抱っこするとほんのり温かいでしょう。耳用の体温計があればベストです。病院ではおしりで測っていますね。発熱していれば感染症や腫瘍、怪我などが考えられ、逆に低いと何らかの重い病気があるかもしれません。

③ 心拍数

1分あたり120回から180回程度が目安です。15秒測定して4倍すれば出ます。

心拍数は胸の下あたりに手をあてて鼓動を測ります。

測る前にまずは猫を落ち着かせてリラックスした状態で。心拍数が多い場合は心臓病や甲状腺の障がい、少ない場合は命にかかわります。やたらと鼓動が大きいな?と思う場合も注意が必要ですね。

④ 呼吸

猫の呼吸数は1分あたり約24回から40回程度です。③の心拍数と一緒に測ると良いでしょう。

これもリラックスさせてからです。胸の上下する回数を見るのですが、わかりにくいときはそっとお腹の上に手を置いてみてください。呼吸が多いと心臓病や甲状腺の疾患、少ないと命にかかわります。

呼吸が浅いときは急いで獣医に見せましょう。

⑤ 排泄物

排泄物は猫の最重要健康チェックポイントです。

下痢や便秘をしていないか、色や形など情報がたくさんあります。おしっこは回数が増えたり色が変わったり(血尿など)すると病気の可能性が有ります。できれば、排泄物を袋に入れるなどして病院に持って行っても良いかもしれませんね。

 

【元気な時の状態】を何かにメモしておくと、いざというときに便利です。

緊急のときは、そんなことに頭がまわらないかもしれません。「前は元気だった」と言っても、いまと前でどう変わったのか?を獣医に伝える必要があります。

※体調の変化があった時には必ず動物病院を受診することです。

素人の知識が獣医を凌駕するなど、ありえないと考えます。(だったら獣医資格をとればよい)

最近はインターネットで動物用医薬品も購入できて便利ですが、自己投与したあとで猫に異変があったらどうにもなりません。保険も効かず補償も全く受けられません

猫ちゃんの去勢・避妊について

〇去勢についてのメリット

①病気の予防ができる

②スプレー行動の抑制やケンカや逃走癖の低下→家庭猫として飼いやすくなる。

③望まない繁殖を防ぐことができる。

デメリット

①全身麻酔を必要とする。

②太りやすくなると言われている。(フードに注意する必要がある)

手術を終えた子用に考えられたフードがあります。

 

〇避妊についてのメリット

①病気の予防ができる。(雌猫は命にかかわる)

②発情中の泣き声の低減、性的ストレスの低下→家庭猫として飼いやすくなる。

③望まない繁殖を防ぐことができる。

デメリット

全身麻酔を必要とする。

太りやすくなると言われている。(フードに注意する必要がある)

ノミ・マダニについて

〇ノミ

ペットにノミが5匹ついているのを見つけたら、その周囲の環境には95匹の未成熟のノミ(卵・幼虫・さなぎ)がたくさんいると思われます。

犬・猫 アレルギー性皮膚炎

人 猫ひっかき病(感染した猫にひっかかれたり、かまれたりすると発熱や頭痛を引き起こす)

※チェック!

ノミとりブラシやコームで毛をとかして、黒っぽい粒つぶがあればノミの糞かもしれませんね。

手でとらずティッシュ等でふき取り、水をたらしてみて、赤みが出ればノミの糞です。

つまり、ご自宅のペットにノミが寄生していると考えられます。

 

〇マダニ

猫が好きな草むらなどで葉っぱの先で待ち構えています。

犬 バベシア病

人 SFTS(重症熱性血小板減少症候群)

※チェック!

特に皮膚の薄い吸血しやすい頭、耳、目の縁、お腹など。

マダニは吸血の時にセメント状のものを出し、しっかりとくっつきます。

むやみに取ろうとすると、口だけが皮膚に残ったり皮膚が化膿したりするので急いで病院へ。

食事について

人間にとって食事はとても大切です。同じように体の小さな猫にとっても非常に大切な要素のひとつです。子猫、母猫どちらにもその体や成長段階に合ったフードを考えて与えるべきだと思います。

地域の猫(いわゆる野良猫)に先天性障害が多かったり、人に慣れにくかったりするのは成長段階における栄養状態が希薄だったと言う事も原因のひとつといえます。

SMITHらの研究(1977)

 

SIMONSONらの研究(1979)

妊娠期間中、母猫の正常な食事量を半分に制限すると、子猫は行動的な発達が遅く、また身体的な異常を抱えた状態で生まれる。学習能力も乏しく、協調性の無さや極度の怖がり、極度の攻撃性など、情緒的に不安定な傾向が強まる。

 

GALLOらの研究(1984)

妊娠後期と授乳期に低たんぱく食を与えられた母猫から生まれた子猫は、平衡感覚や運動機能の異常、愛着関係の希薄化などの傾向が見られる。

 

HARTらの研究(1974)

出生初期に母猫の栄養が80%欠乏すると、子猫のニューロン発達と学習能力は恒久的な影響を受ける。

 

このように、母猫の妊娠期や子猫の社会化期における栄養状態によって、子猫の行動や性格が大きく左右されるようです。